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水前寺のりとは

地球誕生から46億年。スイゼンジノリは、現在の地球環境を作り上げた生命体の仲間です。

約30億年前、原始地球のみで発生した海洋性ラン藻(マリン・シアノバクテリア)が、酸素光合成を営み、地球上に酸素をもたらしました。​この酸素と宇宙からの強烈な紫外線により、オゾン層がかくりつされ、生命は水(海)中から陸地へと生活する場を広げることができました。それが約4億年前といわれ、その後、恐竜の時代を経て、現在に至る進化を成し遂げています。

スイゼンジノリはまさに、この進化をもたらした立役者の一つである生物・ラン藻の仲間です。

ラン藻は、熱帯の海から氷海、砂漠に至るまで地球上に広く分布しており、その数は約1,500種に登ります。

スイゼンジノリはその仲間ですが、陸水・淡水の中でのみ生活しています。したがって、その期限は地球上に淡水環境が成立した後になると考えられ、ラン藻の中では比較的新しい種類といえます。

スイゼンジノリは学術的に世に紹介される以前から、細川藩(熊本)、秋月藩(福岡)で高級郷土料理の素材として大切に保護・育成されていました。

また、1924(大正13)年には、上江津湖の一部である熊本市出水神社の境内がスイゼンジノリの発生地として天然記念物に指定されました。

しかし、1953(昭和28)年の熊本・白川大水害により天然記念物の指定地を含めたスイゼンジノリの発生地は大量のヨナ(火山灰)に覆われてしまい、スイゼンジノリは絶滅したと考えられました。

1966(昭和41)年 熊本市教育委員会の調査により、絶滅したと考えられていたスイゼンジノリの生存が確認でき、多くのボランティア団体の活動によりその数を年々重ねてきました。

​現在では、益城町・嘉島町・熊本市動植物園等にて養殖によりその命脈は保たれております。

水前寺のりの利用方法

水前寺のりは江戸時代から健康によい食べ物として重宝されてきました。

水前寺のりには、日本人に不足しがちなカルシウムや鉄分が多く含まれ、貧血予防や体調維持に貴重な役割をはたしていたとおもわれます。

生のりは、三杯酢やお吸い物の具として食されたり、精進料理・会席料理などさまざまな形で利用されてきました。

​水前寺のりくまもとの会では、そうめん・おつゆ・チーズなどを開発し付加価値の向上に努めております。

水前寺のりの効果

スイゼンジノリを撹拌・乾燥させることにより、繊維状のサクランという新物質が形成されます。

​このサクランは以下のような特徴を持っております。

  • ヒアルロン酸の5〜6倍という極めて高い保水力

  • サラサラで伸びが良い

  • 角質層の保護により、アトピーのかゆみの軽減効果の期待

  • 刺激性皮膚炎及び、アレルギー性接触皮膚炎の抑制効果

  • ​胃潰瘍モデルの抗炎症効果

サクランの保水実験

水前寺のりの培養

スイゼンジノリは非常にきれいな水の中でしか生きられず、水質の保全が必須ですが、現在はスイゼンジノリが安定供給できるように培養施設を整え、サクランへの形成までを一貫して行えるようになりました。

これにより、化粧品や医療・医薬などへの提供が可能となりました。

スイゼンジノリとサクランについて、より詳しく知りたい方は水前寺のりくまもとの会の椛田会長の著書「スイゼンジノリとサクランの魅力」をご覧ください。

​研究の内容から、今後の可能性まで幅広くご確認いただけます。

江津湖研究ロゴ黒.png

江津湖研究会では熊本県水環境会議を中心に江津湖の生態系調査と環境保全を行っている団体です。

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